2009年度放射線医学コース試験問題

 

 

胸部単純エックス線写真において、正常構造の中でエックス線透過性の最も高いものを選べ。

a. 肺門影

b. 下行大動脈影

c. 横隔膜下肝臓影

d. 皮下脂肪影

e. 肋骨影

 

胸部単純エックス線写真の正常像について正しいものを選べ。

a. 右第2弓を形成するものは右心室である。

b. 肺門影を形成する構造物は肺動脈と上大静脈とリンパ節である。

c. 小葉間線は、通常は左肺のみで認められる。

d. 右気管傍線条の厚みは5mm以下である。

e. 横隔膜は、右よりも左の方が高位にある。

 

無気肺について正しい組み合わせを選べ。

a. 閉塞性無気肺…………………異物の誤嚥

b. 瘢痕性無気肺…………………肺癌

c. 圧迫性無気肺…………………陳旧性肺結核

d. 受動性無気肺…………………小児のIRDS(呼吸窮迫症候群)

e. 粘着性無気肺…………………大量胸水

 

56歳男性。胸部造影CT像を別に示す。(別紙 4)

     最も正しいと思われるものを選べ。

a. サルコイドーシス

b. 腺癌

c. 小細胞癌

d. 大細胞癌

e. 扁平上皮癌

 

びまん性肝疾患の画像所見について、正しいものを選べ。

a. 脂肪肝の肝実質は、単純CTで高濃度を呈する。

b. 脂肪肝の肝実質は超音波で低輝度を呈する。

c. 肝硬変では血管造影で動脈の拡張、蛇行、狭小化か見られる。

d. Budd-Chiari症候群では肝臓の右葉の腫大が見られる。

e. ヘモジデローシスの肝実質はCTで低濃度を呈する。

 

胆道系の画像診断で正しい組み合わせを選べ。

a. 石灰乳胆汁…………………………………急性炎症による胆嚢壁石灰化

b. 胆嚢腺筋腫症(adenomyomatosis)………cometsign

c. 磁器様胆嚢(porcelain gallbladder)…胆嚢内ガス

d. Mirizzi症候群……………………………胆嚢穿孔に伴う炎症

e. 胆石イレウス………………………………胆嚢管結石に伴う炎症性イレウス

 

IVRを施行するときに経皮的にアプローチできない血管はどれか。

a. 総頚動脈

b. 大腿動脈

c. 椎骨動脈

d. 鎖骨下動脈

e. 上腕動脈

 

別に示す画像検査において(別紙 8)、使用された造影剤の主成分は何か。

a. Ba(バリウム)

b. CO2(二酸化炭素)

c. FDG(フルオロデオキシグルコース)

d. Gd(ガドリニウム)

e. I(ヨード)

 

MRI T1強調像において高信号となるものを2つ選べ。

a. 奇形腫

b. 平滑筋腫

c. チョコレート嚢胞

d. 腹水

e. 前立腺癌

 

問10 副腎静脈の典型的な流入路に関して正しい記載はどれか。

a. 左副腎静脈は右副腎静脈へ流入する

b. 左副腎静脈は下大静脈へ流入する

c. 左副腎静脈は左腎静脈へ流入する

d. 左副腎静脈は肝静脈へ流入する

e. 左副腎静脈は腰静脈へ流入する

 

問11 単純CTおよびMRI像について正しいのはどれか。

a. CTで石灰化像は高吸収を示す。

b. T1強調像で脂肪は低信号を示す。

c. T2強調像で石灰化像は高信号を示す。

d. T1強調像で脳脊髄液は高信号を示す。

e. T2強調像で陳肝性血腫は高信号を示す。

 

問12 トルコ鞍近傍の腫瘍性病変としてもっとも可能性の低いものはどれか。

a. 聴神経鞘腫

b. 下垂体腺腫

c. 神経膠芽腫

d. 頭蓋咽頭腫

e. 動脈瘤

 

問13 頭部単純MRIT2強調像を別に示す。(別紙 13)

    組み合わせで正しいのはどれか。

a. @……………前交連

b. A……………尾状核

c. B……………淡蒼球

d. C……………被殻

e. D……………視床

 

問14 腹部造影CT画像を別に示す。(別紙 14)

    肝腫瘍の占拠部位はどれか。

a. S2

b. S3

c. S4

d. S5

e. S6

 

問15 磁気共鳴画像(MRI)に関して説明した次の文章の中で誤っているものはどれか。

a. 造影剤としてガドリニウム製剤を使用する。

b. 人体の中に多量に存在する水素の原子核の磁気的成分を利用している。

c. 人体の長軸に対して斜めの画像も撮像できる。

d. 新しいMRI装置では酸素ボンベをMRI室にいれても危険はないようになった。

e. 非造影MRI(造影剤を使用しない)検査でも血管像を得ることができる。

 

問16 MRIの原理について記す次の文章の中で正しいものはどれか。

a. 水は短いT1を持っており、T1強調画像では低信号を示す。

b. 水は短いT2を持っており、T2強調画像では高信号を示す。

c. T2強調画像では短いTR(繰り返し時間)、長いTE(エコー時間)に設定している。

d. T1強調画像よりもT2強調画像が診断に有用であるので通常はT2強調画像のみ撮像する。

e. T1強調画像では短いTRTEに設定している。

 

問17 コンピュータ断層撮影(CT)で次の各組織のCT値を示した組み合わせの中で誤っているものはどれか。

a. 筋肉……………40HU

b. 脂肪……………-50HU

c. 肺………………-150HU

d. 心臓……………40HU

e. 脳白質…………-20HU

 

問18 以下の記述で誤っているものはどれか。

a. 下垂体柄は、良く造影される。

b. 下垂体前葉は、良く造影される。

c. 下垂体後葉は、良く造影される。

d. 視交叉は、良く造影される。

e. 海綿静脈洞は、良く造影される。

 

問19 下垂体腺腫について、誤っているものを選べ。

a. 1cm以下の腺腫を微小腺腫という。

b. 微小腺腫の描出には造影剤が非常に有用である。

c. クッシング病は微小腺腫で起こることはない。

d. 生殖年齢の女性は前葉が大きく、微小腺腫との鑑別が問題となることがある。

e. 腺腫が大きくなり視交叉を圧迫すると、両耳側半盲をきたす。

 

問20 vascular IVRに属するものはどれか。

a. 肝膿瘍に対する経皮的膿瘍ドレナージ

b. 膵頭部癌に対する経皮経肝的胆管ステント留置術

c. 圧迫骨折に対する経皮的椎体形成術

d. 腹部大動脈瘤に対する大動脈ステントグラフト内挿術

e. 膵頭部癌に対する腹腔神経叢ブロック

 

問21 次の組み合わせのうち適切なものはどれか。

a. 肝細胞癌に対する肝動脈化学塞栓術…………無水エタノール

b. 脳動脈瘤に対する動脈瘤塞栓術………………ゼラチンスポンジ

c. 膵炎後仮性動脈瘤に対する動脈塞栓術………自己凝血塊

d. 肺動静脈瘻に対する瘻孔閉鎖術………………金属コイル

e. 肝切除前の経皮経肝的門脈塞栓術……………50%ブドウ糖液

 

問22 急激な左下肢腫脹と呼吸苦を訴えた患者の左下肢静脈造影と胸部造影CTを別に示す。

      (別紙 22)適切な組み合わせはどれか。

a. 下肢深部静脈血栓症による肺静脈塞栓を生じている。

b. 狭窄した下肢静脈にステントを留置することにより症状の改善が望める。

c. 下大静脈フィルター留置により肺動脈血栓の溶解が望める。

d. 脳梗塞を生じる可能性がある。

e. 血栓吸引や血栓溶解療法の適応である。

 

問23 造影剤について誤っているものはどれか。

a. 造影剤による副作用は投与量依存性と投与量非依存性(アナフィラキシー様反応)がある。

b. 喘息の患者さんでも問題なく造影検査を施行できる。

c. 造影剤はエックス線の透過性を減弱させる。

d. 以前に造影検査で副作用を発現した患者さんは造影検査を避けるべきである。

e. 造影検査時、絶食時間の長い方が嘔気・嘔吐の発生率は高まる。

 

問24 潰瘍性大腸炎の注腸所見で正しいものを選べ。

a. 拇指圧痕像

b. 縦走潰瘍

c. 敷石様概観

d. 瘻孔形成

e. 直腸よりの連続性病変

 

問25 45歳男性。胃造影検査図を別に示す。(別紙 25)

      最も考えられる疾患をひとつ選べ。

a. 胃ポリープ

b. 胃癌(進行癌2)

c. 胃癌(表在癌IIc)

d. 粘膜下腫瘍

e. 胃潰瘍

 

問26 脳血流SPECTについて誤っているのはどれか。

a. 脳組織に親和性のある放射性薬剤を用いる。

b. ガンマカメラで撮像する。

c. 小さな脳転移の検出に有用である。

d. アルツハイマー病の評価に有用である。

e. てんかんの評価に有用である。

 

問27 心筋201TI核医学検査について誤っているのはどれか、1つ選択せよ。

a. 左心室壁の血流が評価できる。

b. 201TIが心筋細胞に取りこまれる。

c. 超音波を用いて画像化する。

d. 心筋虚血の重篤度が評価できる。

e. 梗塞心筋の範囲が評価できる。

 

問28 消化管出血シンチグラフィに用いる放射性薬剤として正しいのはどれか、1つ選択せよ。

a. 99mTc-DTPA

b. 99mTc-MAG3

c. 99mTc-RBC(赤血球)

d. 131I-adosterol(アドステロール)

e. 99mTc-MAA(大凝集アルブミン)

 

問29 放射線を一度に全身被ばくしたときの生体の急性障害について正しいのはどれか。

a. 皮膚の脱毛は0.1Gyで起きる。

b. 骨髄死は被ばくから10-15日後に起きる。

c. 胃腸死は被ばくして即座に起きる。

d. 中枢神経死は5Gyで起きる。

e. ヒトの半致死線量(LD50)20Gyである。

 

問30 18F FDG PETを施行した患者の正面から見た像を別に示す。(別紙 30)

     正しいのはどれか。

a. FDGは脂肪酸代謝の盛んな部位に集積する。

b. 脳の集積は病変があることを示す。

c. 腎杯腎孟の集積は病変があることを示す。

d. 膀胱の集積は病変があることを示す。

e. 全身に明らかな異常集積はないと判断される。

 

問31 乳房温存術後の放射線治療として通常行われる照射法はどれか。

a. 強度変調放射線治療(IMRT)

b. 定位放射線治療

c. 接線照射

d. 電子線一門照射

e. 前後対向二門照射

 

問32 乳房切除後の術後照射が、特に有効な症例はどれか。

a. 腫瘍長径が2cm以下の症例

b. 肝転移のある症例

c. 肺転移のある症例

d. 腋窩リンパ節転移陰性の症例

e. 腋窩リンパ節転移が5個陽性の症例

 

問33 切除を必要とせず照射単独で治癒可能な脳腫瘍はどれか。

a. 髄芽腫medulloblastoma

b. 胚芽腫germinoma

c. 神経膠芽腫glioblastoma multilorme

d. 髄膜腫meningioma

e. 星神経細胞腫astrocytoma

 

問34 化学放射線療法に関して正しいのはどれか、2つ選択せよ。

a. 2-3コースの化学療法後に放射線治療を行う

b. 抗がん剤の放射線増感効果を期待する

c. シスプラチンは主な併用抗がん剤である

d. 遠隔転移は増加する

e. 急性反応は低減する

 

問35 上咽頭癌について誤っているのはどれか。

a. 複視で発症する症例もある。

b. 化学放射線療法が有効である。

c. 強度変調放射線療法(IMRT)では唾液腺障害が軽減できる。

d. 頚部リンパ節転移の頻度は多い。

e. 若年者(10-20歳代)での発症はまれである。

 

問36 I期声門癌の放射線治療に関して誤っているのはどれか。

a. 合計線量は66-70Gyが標準的である。

b. 全照射期間が延長すると局所制御率が低下する。

c. 腔内照射が有効である。

d. 喉頭に限局した照射野で治療する。

e. 5年局所制御率は90%程度である。

 

問37 食道癌について正しいのはどれか。

a. 男女比は1:1である。

b. 粘膜下層までの浸潤の表在食道癌でもリンパ節転移が多い。

c. 遠隔転移のない切除不能進行食道癌には姑息的治療が行われる。

d. 上咽頭癌との重複がんが多い。

e. 下部胸部食道(Lt)にもっとも発生する。

 

問38 以下のうち膵癌の術中照射に適している放射線はどれか。

a. 陽子線

b. 炭素線

c. エックス線

d. ガンマ線

e. 電子線

 

問39 子宮頸癌について誤っているのはどれか。

a. 化学放射線療法(同時併用)は標準治療のひとつである。

b. 主訴としては、リンパ節腫脹が多い。

c. III期の場合、放射線治療による5年生存率は約50%である。

d. II期も放射線治療の適応である。

e. 根治的放射線治療には腔内照射が併用される。

 

問40 悪性リンパ腫について誤っているのはどれか。

a. B細胞リンパ腫は、T細胞リンパ腫よりも一般に予後が良い。

b. 悪性リンパ腫は、近年増加している。

c. 非ホジキンリンパ腫は、非連続性・浸潤性に進展しやすい。

d. マントル照射は早期のホジキンリンパ腫に対して行う。

e. 早期悪性リンパ腫の治療の原則は、根治的切除である。

 

問41 悪性リンパ腫の初発部位のなかでレもっとも予後の悪いものはどれか。

a.

b. 甲状腺

c. 頚部リンパ節

d. 唾液腺

e.

 

問42 15歳以下の小児ではまれな疾患はどれか。

a. 神経芽細胞腫

b. 網膜芽細胞腫

c. 脳腫瘍

d. 多発性骨髄腫

e. 骨肉腫

 

問43 以下のうち電離作用のないのはどれか

a. エックス線

b. Y

c. 紫外線

d. 電子線

e. 中性子線

 

問44 別に相対深部線量曲線を示す。(別紙 44)

     深部のがん病巣で高線量(ブラッグピーク)となるのはどれか。

a. エックス線

b. 陽子線

c. 電子線

d. Y

e. 中性子線

 

問45 放射線感受性の高い腫瘍はどれか、2つ選べ。

a. 骨肉腫

b. 悪性リンパ腫

c. 悪性黒色腫

d. 神経芽細胞腫

e. 胃癌

 

問46 放射線照射によって起こる各臓器の晩期反応のうち耐容線量の低いのはどれか。

    (1)脊髄………横断性脊髄炎

    (2)水晶体……白内障

    (3)単元………不妊

    (4)食道………食道狭窄

    (5)肺…………肺線維症

a. (1),(2)   b. (1),(5)   c. (2),(3)

d. (3),(4)   e. (4),(5)

 

問47 前立腺癌について正しいのはどれか。

a. 前立腺肥大症は高率に前立腺癌に移行する。

b. 前立腺癌の組織型は移行上皮癌が最も多い。

c. 前立腺癌の触診所見は石様硬と表現される。

d. グリーソンスコアの高い腫瘍は予後良好である。

e. 放射線治療は手術に比し勃起障害を招きやすい。

 

問48 以下のうち正しいのはどれか。

a. エックス線の直接作用は酸素分子の電離により開始される。

b. 未分化な腫瘍の放射線感受性は低い。

c. 低酸素細胞は高LET放射線に抵抗性である。

d. 放射線の早期反応として色素性乾皮症が起こりやすい。

e. 細胞周期のS期後半では放射線感受性が低下する。

 

問49 肺癌の放射線治療について正しいのはどれか。

a. I期非小細胞肺癌は放射線治療の適応ではない。

b. V期非小細胞肺癌には患側片肺全域を照射する。

c. 照射期間を延長すると治療成績は上がる。

d. 脊髄に対し10Gy以上照射すると麻痺が頻発する。

e. 放射線肺臓炎は命にかかわる合併症である。

 

問50 小細胞肺癌について間違っているのはどれか。

a. 著効例には予防的全脳照射を行う。

b. 限局型では加速過分割照射を行う。

c. 早期から遠隔転移を来しやすい。

d. 遠隔転移のない症例では手術が第一選択である。

e. 放射線治療による早期合併症に白血球減少がある。

 

<記述問題>

 

問1 空間的線量分布の方策を3つ挙げ、それぞれについて知っていることを述べよ。

問2 放射線治療期間中に腫瘍内で起こる変化を次の言葉を用いて説明せよ。
分割照射  放射線感受性  再酸素化  低酸素

問3   核医学あるいはPETの診断の特徴を次の言葉を使って説明せよ。(使った言葉の下には線を引くこと)

臓器  組織  親和性  放射性薬剤  ガンマカメラ   PETカメラ  光子  代謝  血流  低侵襲  副作用

問4   脳梗塞のMRIの画像の経時的変化を説明せよ。
  超急性期
    急性期
  亜急性期
   慢性期

問5  肝硬変のCTによる変形の所見を4つ挙げよ。
問6  次の図で矢印が示す女性の臓器名を答えよ。
 

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